炒め物を作るたびに、後ろの棚を振り返って調味料を取っていた。たった一歩なのだが、菜箸を持ったまま体をひねる動作が一回の調理で五、六回発生する。フライパンから目を離した隙に火加減が変わって焦がしたことも何度かあり、これは配置の問題だと気づいたのが夏前だった。
結論から言うと、コンロの前に立ったまま手が届く範囲に置くのは五種類だけにして、残りは全部引き出しへ移した。使う頻度で置き場所を分けただけだが、調理中に振り返る回数はほぼゼロになった。並べ方を見直すときは調味料ラックのようにコンロ横の限られた幅に収まるタイプを探すと、置ける数が自然と絞られて選びやすい。
以前の置き方と、今の置き方
以前は、背面のオープン棚に調味料を十四種類まとめて並べていた。見た目としては整っていたし、どこに何があるかもすぐわかる。ただ、コンロからは体半分ぶん振り返る必要があり、しかも高さがあるので上の段は手を伸ばす動作も加わっていた。
今はコンロ横の幅20センチほどのすき間に、塩・こしょう・しょうゆ・みりん・サラダ油の五つだけを置いている。この五つで平日の夕食はほぼ回る。残りの九種類は、コンロ下の引き出しに立てて収納した。使う頻度が週一回以下のものばかりなので、一手間かかっても支障がない。
分ける基準は「週に三回以上使うか」の一点だけにした。感覚で選ぶと、なんとなく全部残したくなる。実際に一週間、使った調味料を紙にメモしてから決めたら、思っていたよりずっと少ない種類しか使っていないことがわかった。中華調味料などは、あると思って買い足して二本になっていたものもあった。
置き場所を絞ってから起きた変化
いちばん効いたのは、コンロ前から動かなくなったことで火から目を離さなくなった点だった。焦がす回数が明確に減り、味付けを足すタイミングも迷わなくなった。副次的に、コンロ横に油はねが集中するので掃除の範囲がはっきりし、拭く場所が固定されたのも助かっている。
逆に、想定していなかった手間もある。引き出しに移した調味料は、目に入らないぶん存在を忘れやすい。使わないまま賞味期限を過ぎたスパイスが二つ出てしまったので、今は引き出しの内側に中身を書いた紙を貼って、月に一度だけ上から眺めるようにしている。それでも、コンロまわりに全部を並べていた頃より管理はしやすい。
もう一点、コンロ横に置くものは容器の形をそろえたほうがいい。高さがばらばらだと、奥のものを取るときに手前を一度どかす動作が入る。うちは詰め替えずにそのまま置いていたので、しょうゆのボトルだけ背が高く、結局それが引っかかっていた。同じ高さに揃えてからは、見ずに手を伸ばしても取れるようになった。
調理台まわりは、道具を増やすより先に置き場所を決め直すほうが効く場面が多いと感じている。手が届く範囲は限られているので、そこに何を置くかは実質的に優先順位を決める作業でもある。
作業の順番そのものを見直したい人はまな板を複数枚に増やしたら洗い物の順番待ちが消えた効果、平日の調理そのものを軽くしたい人は下味冷凍を週末にまとめてしまう段取りも参考になるはずだ。
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