「週末にまとめて作り置きすれば平日が楽になる」という王道のやり方に、何度も挑戦しては挫折してきた。三日ともたずに冷蔵庫の奥で容器が置き去りになる、という流れを四回か五回は繰り返したと思う。最終的に落ち着いたのは、その真逆の発想だった。
この記事では、作り置きをやめた具体的な理由と、代わりに定着した「その日の分だけ短時間で作る」やり方、それから作り置きが向いている人・向いていない人の線引きまで書く。やめてから一年以上経ったので、やめたことで増えた手間についても正直に残しておく。
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作り置きをやめた5つの理由
1. 週末に体力が残っていなかった
これが根本だ。「作り置きすれば楽になるはず」という理想と、金曜の夜に力尽きている実際の自分との間に、埋めようのない差があった。作り置きは平日を楽にする代わりに、週末に二時間から三時間をまとめて要求してくる。その二時間が最初から手元にない人間には、そもそも成立しない仕組みだった。
2. 三日目以降は食べたくなくなる
作った直後は「これで一週間安心」と思うのに、水曜あたりで同じ味に飽きる。飽きた料理を義務感で食べる時間が、平日の楽しみを一つ削っていた。結局は残して捨てることになり、時短のつもりが食材のむだに変わっていた、というのがいちばんこたえた部分だ。
3. 保存容器の洗い物が別の家事を生む
五品作れば容器も五つ。しかも油ものの容器は食器よりも洗いにくく、パッキンの溝まで洗おうとすると手間が跳ね上がる。減らしたはずの家事が、洗い物という別の形で戻ってきていた。
4. 冷蔵庫の奥で在庫が見えなくなる
作り置きがあると冷蔵庫が埋まり、何がどこにあるか把握できなくなる。手前のものだけ食べて、奥のものは忘れる。ラベルを貼れば解決するかと思って試したが、貼る手間がまた一つ増えただけだった。
5. 「作らなきゃ」が休日のプレッシャーになる
日曜の午後にどこかへ出かけていても、頭の片隅で作り置きのことを考えている。休んでいるのに休んだ気がしない、という状態が続いた。時短のための仕組みが、休日の質を下げていたわけだ。ここに気づいた時点で、やめる決心がついた。

代わりに定着した「その日ごはん」の回し方
やめると決めたあとで困ったのは、平日の夜に一から作る覚悟が要るのではないかという点だった。実際には、次の三つに寄せたら十五分前後で回るようになった。
切って入れるだけの調理に寄せる
火加減を見ていなければならない料理をやめ、材料を切って入れてスイッチを押すだけの調理に置き換えた。放っておける時間に風呂を沸かしたり洗濯物を畳んだりできるので、体感の負担が大きく変わる。まとめて仕込む必要がないぶん、道具選びも「作り置きしない前提」で見直した。
主菜だけ決めて、副菜は固定にする
毎日考えるのは主菜だけ。副菜は汁物と、切るだけの生野菜か、常備している缶詰のどれかに固定した。献立を考える対象を一つに絞ると、決めるまでの時間がほとんどゼロになる。
冷凍食品を後ろめたさなく使う
平日の流れとしては、だいたいこうなっています。
- 帰宅したらまず主菜の材料を切って調理器具に入れる(三分から五分)
- 放っておける時間に別の家事を片づける(十五分から二十分)
- その間に汁物と副菜を出す(三分)
- 疲れている日はこの手順をやめて、冷凍のものを温める
作り置きが向いている人・向いていない人
やめてみて分かったのは、作り置きが悪いのではなく、自分の生活リズムと噛み合っていなかっただけだということだ。次のような人には、たぶん今もよく効く方法だと思う。
- 週末に確実にまとまった時間と体力が残る生活をしている
- 同じ料理が数日続いても平気、あるいは味を変えるアレンジが苦にならない
- 食べる人数が多く、一度に作るほど効率が上がる
- 大きめの冷蔵庫があり、中身を見渡せる
逆に、次のどれかに当てはまるなら、自分と同じところでつまずく可能性が高い。
- 平日の疲れが週末に持ち越されがち
- その日の気分で食べたいものが変わる
- 一人分か二人分で、作る量が中途半端になる
- 洗い物をためやすい
いきなり全部やめず、半分だけやめてみた
最初から完全にやめたわけではない。まず「主菜の作り置きだけやめて、副菜は残す」という形を二週間試した。副菜は日持ちしやすく飽きにくいので、ここだけは残しても負担にならなかったからだ。この段階で平日が回ることを確かめてから、副菜も切って出すだけの形に移した。
一気にやめると「平日に作れなかったらどうしよう」という不安が残る。半分だけ残す期間をはさむと、やめた場合の生活が具体的に想像できるので、決断がずいぶん楽になった。

やめてから変わったこと
買い物の仕方が変わった。作り置き前提だと一週間分をまとめて買うことになるが、今は数日で使い切れる量しか買わない。冷蔵庫がすかすかになり、何が入っているか扉を開けた瞬間に分かるようになった。食材を腐らせる回数もはっきり減っている。
家族との関係でも少し変化があった。以前は「週末に作り置きしないの」と聞かれることがあったが、今のやり方のほうが続いていると説明してからは、そういう会話自体がなくなった。続いている事実がいちばんの説明になったのだと思う。
正直に書くと、増えた手間もある
いいことばかりではない。買い物の回数ははっきり増えた。週一回で済んでいたものが、今は三日から四日に一度だ。仕事帰りに寄る前提で組んでいるのでそこまで負担ではないが、まとめ買い派の人にとってはここが逆にストレスになるはずだ。
もう一つは、毎日「今日は何を主菜にするか」を決める必要があること。副菜を固定して考える対象を減らしても、ゼロにはならない。作り置きは、この決める作業を週末に前倒しでまとめて済ませる仕組みでもあったのだと、やめてから理解した。
それでも戻してはいない。「こうあるべき」を手放したことで、自炊そのものが以前よりずっと気楽なものになったからだ。無理をしないやり方を見つけられたことが、結果としていちばんの時短につながったのだと思う。なお、まったくの作り置きゼロというわけでもなく、落ち着いた形は下味冷凍を週末にまとめてしまう段取りにまとめた。
やめきれずに再開したときの仕切り直し
全部やめたと書いたが、間を空けてから一度戻している。そのときに止まった原因を考えたら、品数を増やしすぎていたことに行き着いた。
減らしたもの
五品を目標にしていたのをやめて、二品だけにした。少なすぎる気がしたが、実際には平日の献立が二つ埋まるだけで十分だった。作らない週があってもよいことにしたのも効いている。
容器をそろえたのも効いた
大きさがばらばらだと、冷蔵庫の中で積めずに奥が見えなくなる。同じ形でそろえてからは、残っているものが一目で分かるようになった。
下味をつけて冷凍する形なら続いた
作り置きをやめたあとも、一つだけ形を変えて残したものがある。
日曜の四十分でやっていること
買い物から帰った直後、荷物を片付ける前に始めるのがコツだった。冷蔵庫に一度しまうと、出し直すのが面倒になる。
- まな板と袋を先に全部並べる(途中で取りに行かない)
- 肉を一食分ずつ袋に分ける
- 調味料を袋に直接入れる(別容器で混ぜない)
- 空気を抜いて平らにし、袋の上に日付と料理名を書く
- 金属のトレーに載せて冷凍室へ
五食ぶんで四十分ほど。慣れるまでは一時間かかっていた。
金属のトレーに載せるのは、早く凍らせるためだ。ゆっくり凍ると肉の組織が壊れて、解凍したときに水分が出る。トレーを一枚敷くだけで凍結までの時間が半分近くになるので、この工程は省いていない。凍ったあとはトレーを外して立てて収納している。
やらないと決めたこと
最初は野菜も一緒に入れていた。これは失敗だった。解凍したときに水が出て、味が薄まる。特に葉物と、水分の多い野菜は相性が悪い。今は肉と調味料だけを冷凍して、野菜は当日に足している。
もう一つやめたのが、凝ったメニューを作ることだった。手順の多い料理を下味冷凍にすると、結局は当日の作業が残る。うちで続いているのは、焼くだけ、煮るだけで完成するものに限られている。
解凍のタイミングが最大の難所
いちばん失敗したのはここだった。朝に冷蔵室へ移すのを忘れると、夜に固まったままの袋を前にして立ち尽くすことになる。
今は前日の夜、翌日ぶんを冷蔵室に移すという順番に変えた。夕食の片付けの最後に一つ移す。ここも動作の順番に組み込んでしまえば忘れない。忘れた日は、袋ごと水につけて解凍するという逃げ道も用意してある。
保存期間も決めている。三週間を過ぎたものは味が落ちるので、袋に書いた日付を目安に使い切る。冷蔵庫の中身をラベリングした話と同じ発想で、書いてあれば迷わない。
実際にどれだけ短くなったか
平日の調理時間は、体感で四十分から十五分になった。数字にすると劇的だが、実際に効いているのは時間そのものより「献立を考えなくていい」ことのほうだ。冷凍室を開ければ、その日に何を作るかが袋に書いてある。
作り置きそのものは自分に向いていないと思っていた。この判断を書いたときの気持ちは今も変わっていなくて、完成した料理を冷蔵で数日持たせるのは、味の劣化と衛生管理の両方が気になる。下味の段階で止めておくやり方なら、その心配がない。
宅配のミールキットと比べてどうかという話もある。ミールキットを使ってみた感想にも書いたが、あちらは考える手間ごと外注できるぶん楽で、下味冷凍は費用が抑えられる。うちは平日の半分ずつで使い分けている。
手を抜く日と抜かない日を決める
毎日同じ力のかけ方をしようとしたのが、そもそも続かなかった原因だった。
決める前と決めたあとの違い
以前は、その日の疲れ具合を見てから「今日は作るか、買うか」を判断していた。一見すると柔軟でよさそうなのだが、実際には夕方に毎日その判断を迫られることになる。疲れている日ほど判断が鈍り、結局コンビニに寄って高くつく、という流れを何度も繰り返していた。
今は、平日五日のうち二日を手を抜く日、三日を作る日と決めている。割合にすると四割だ。曜日まで固定はせず、週のはじめに「今週は水曜と金曜」と決めるだけにしている。ここを固定しなかったのは、残業や予定が読めない週があるからで、割合だけを守るようにしたほうが破綻しにくかった。
作る日と抜く日で、買い物の中身も変わった。作る日の分だけ生鮮を買えばいいので、冷蔵庫の中で野菜がしなびる量が減っている。以前は「一応買っておくか」で三日分の野菜を抱えて、二日目には使い切れずに諦めていた。
手を抜く日の中身を三段階に分けた
- 軽い手抜き……冷凍しておいた作り置きを温めるだけ。皿は一枚で済ませる
- 中くらいの手抜き……冷凍のお惣菜や、レンジで仕上がるものに頼る
- 全面的な手抜き……調理も片付けもしない。外で食べるか、届けてもらう
この三段階に分けたのが、思っていた以上に効いた。「手を抜く」とひとくくりにしていたときは、なんとなく一番楽な方に流れてしまい、費用がかさんでいた。段階を用意しておくと、疲れの度合いに合わせて選べるので、毎回いちばん高い選択をせずに済む。実際、二日のうち一日は軽い手抜きで収まることが多い。
数字を決めて三か月ほど経つが、割合そのものは一度も変えていない。変えたのは中身のほうで、季節によって軽い手抜きに使う仕込みの種類を入れ替えている。夏は火を使わずに済むものが増え、冬は煮込みが中心になる、という程度の調整だ。
もし同じように毎日の判断に疲れているなら、曜日を決めるより先に割合を決めてみるといいと思う。何日抜いていいかがはっきりしていると、抜いた日の後ろめたさが消える。私の場合はそこが一番大きくて、手を抜くこと自体を予定に組み込んだ結果、作る日の三日はむしろ前より丁寧にやれるようになった。
失敗もあった。始めた最初の月は、割合を三日と欲張って設定していて、二週目には守れなくなった。抜く日を増やしすぎると、今度は作る日の献立がワンパターンになり、飽きが早く来る。二日に落としてからのほうが、結果的に長く続いている。数字は多めより少なめから試すほうがいいというのが、そのときの反省点だ。
冷凍の惣菜を常備しておく
その日ごはんを回すうえで、作らない日の逃げ道も決めてある。
冷蔵の宅配食と使い分けている
宅配の惣菜サービスは以前から使っていて、これまで頼んでいたのは冷蔵で届くタイプだった。届いた日から数日で食べきる必要があるぶん、味は作りたてに近い。ただ、その「数日で食べきる」という前提が、予定が崩れた週にはかえって負担になっていた。せっかく届いたのに食べられず、期限を見ながら焦って消化する週が何度かあった。
冷凍タイプは逆で、届いてから冷凍庫に入れておけば数か月単位で置いておける。つまり「食べる日を決めなくていい」。これが自分にとっては大きかった。冷蔵の宅配食は計画的に使う週に、冷凍は非常用に、という住み分けで落ち着いている。
実際に使ってみて感じたこと
用意する手間は、電子レンジで温めるだけ。主菜と副菜が一つのトレーにまとまっているので、皿に移さずそのまま食べれば洗い物もほぼ出ない。作らない日にありがちな「結局、後片付けだけは残る」という状態にならないのは助かった。
気をつけたほうがいいのは冷凍庫の容量だ。十食セットで頼むと、うちの冷凍庫では下段がほぼ埋まった。作り置きの氷や冷凍野菜を詰め込んでいる家庭だと、届く前に一度整理しておかないと入りきらない可能性がある。自分は初回、アイスの箱を出す羽目になった。
味の方向性は、濃い味付けでご飯をかき込むタイプではなく、全体的に穏やかだ。塩分やカロリーに配慮して管理栄養士が献立を設計しているとのことで、その意味では想像通りの落ち着いた味だった。がっつり食べたい日には物足りなく感じることもあるので、そこは好みが分かれると思う。
解凍にかかる時間も、事前に把握しておくとつまずかない。うちの電子レンジだと一食あたり五分前後で、その間に汁物を用意したり、前日の残りを出したりする余裕がある。逆に「帰宅して三分で食べたい」ような日には、待ち時間が意外と長く感じられた。冷凍庫から出してすぐ食べられるわけではない、という点だけは期待値を調整しておいたほうがいい。
自分が頼んでいるのはワタミの宅食ダイレクトの冷凍惣菜セットで、お届けの頻度を選べるほか、都合が悪い週は休みにもできる。まとめて頼んで冷凍庫に置いておく使い方とは相性がよかった。
その日ごはんに切り替えると、買い物へ行く回数のほうは増える。メモを家族と共有アプリに移して困った点は買い物メモを紙から共有アプリに移したときに気づいた落とし穴にまとめた。
作り置きをやめたあとに効いたのが、冷凍庫の中身を紙に書き出す習慣だった。
作り置きをやめるときによく聞かれること
作り置きしない派は、実は少なくないのか
周りに聞いてみると、最初から作っていない人と、一度やってやめた人を合わせると思っていたより多かった。続けている人のほうが話題にしやすいので目立つだけで、しない側が珍しいわけではない。どちらが正しいかではなく、休日の体力と冷蔵庫の大きさで向き不向きが分かれる家事だと受け止めている。
家族から「作り置きはやめてほしい」と言われたら
理由を一つずつ聞くのが先だった。うちの場合は次の三つに分かれた。
- 同じおかずが続いて飽きる
- 作りたての温かさがない
- 冷蔵庫が容器で埋まって飲み物が入らない
飽きる理由なら量を二日分に減らす、温かさなら主菜だけその日に作る、冷蔵庫なら容器の数に上限を決める、と打ち手が別になる。全部やめるか続けるかの二択にしなかったのは、この切り分けをしたからだ。
やめると食費は上がらないのか
家計簿をつけている範囲では、目立つ上下はなかった。まとめ買いの割安さは失ったが、使い切れずに捨てる食材が減った分で相殺された感覚に近い。冷凍食品や惣菜に頼る日が増えすぎると上がるので、そこは週の回数を決めて抑えている。
この記事で紹介した商品/サービス
- 材料を入れて待つだけの電気圧力鍋:作らない日を作るための逃げ道(別の通販サイトの取り扱いもあります)
- ワタミの宅食ダイレクト:冷凍で届くので、食べる日を決めずに置いておける
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