電子レンジの庫内は、気づいたときには手遅れになっている。飛び散った油が加熱されて固まり、洗剤をつけた布でこすっても動かない。爪でひっかいて削るような掃除を、年に二回くらいやっていた。
これを蒸気でふやかす方式に変えてから、掃除にかかる時間が十分の一以下になった。やり方は拍子抜けするほど簡単で、耐熱容器に水を入れて数分加熱し、庫内に蒸気を充満させて、そのまま数分放置してから拭き取るだけ。
こする掃除が効かなかった理由
そもそも汚れの正体は、加熱で変質した油とたんぱく質だ。乾いて硬化しているので、表面をこすっても削れるだけで落ちない。水分を含ませて元の柔らかさに戻してやると、力を入れずに拭き取れる。
やってみて驚いたのは、放置時間の効き方だった。加熱直後にすぐ拭くと、まだ落ちにくい部分が残る。扉を閉めたまま五分待ってから拭くと、同じ場所が一拭きで済む。待っている間は何もしなくていいので、体感の労力はほぼゼロだ。
水だけでいいのか、何か足すべきか
水だけでも十分落ちるが、匂いが気になるときは重曹を小さじ一杯ほど溶かしている。酸性の汚れに対して働くので、油汚れとは相性がいい。逆に、魚を温めたあとの生臭さにはクエン酸やレモンの切れ端を入れるほうが効いた。
ただ、どちらも入れっぱなしにすると庫内に白い跡が残ることがある。拭き取ったあと、水だけを含ませた布でもう一度撫でるようにしている。この一手間を省くと、次に加熱したときに焦げ付いた粉が出てきて逆に面倒だった。
注意点として、この方法が使えるのは庫内がフラットなタイプに限られる。ターンテーブル式の場合は皿を外して別に洗う必要があるし、オーブン機能と一体になった機種では、取扱説明書に蒸気を使った掃除を避けるよう書かれていることもある。うちの機種は説明書に「庫内クリーン」という項目があって、ほぼ同じ手順が公式に案内されていた。買ってから四年、その項目を読んだことがなかった。
頻度を上げたら一回あたりが軽くなった
いちばん変わったのは掃除の間隔だった。以前は年に二回の大仕事だったのが、今は二週間に一度、五分で終わる作業になっている。回数は増えたが、総時間は減った。
頻度を保てているのは、作業が短いからというより、加熱している数分と放置している数分に別のことができるからだと思う。洗い物をしたり、翌日のゴミをまとめたり。掃除だけのために時間を確保している感覚がない。洗濯槽クリーナーを毎月のルーティンにした話と同じで、間隔を短くしたほうが結局は楽になるという逆説がここにもあった。
庫内が汚れにくくなる工夫も並行してやっている。温めるときにふんわりとラップをかける、あるいは蓋つきの容器を使う。冷蔵庫の中身をラベリングした話のときにも保存容器を見直したのだが、蓋のある容器に統一しておくと、そのままレンジに入れられて飛び散らない。
専用の洗剤も買わず、道具も増えていない。庫内をこすっていた時間が丸ごと消えたわりに、始めるのに必要だったのは耐熱容器一つだった。


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