ベランダに出るのは洗濯物を干すときだけなのに、置いてあるものは十を超えていた。使っていないプランターが四つ、割れたバケツ、物干し竿の予備、子どもが使っていた小さい椅子、それに正体の分からない園芸用の土の袋。
掃除をしない理由がずっと分からなかったのだが、ある日気づいた。掃くためには全部を一度どこかへ移動させる必要があって、その工程が面倒だったのだ。置いてあるものを三つまで減らしたら、掃除が五分で終わるようになった。
何を残して何を出したか
残したのはこの三つだけ。
- 物干し竿。使う頻度がいちばん高い
- 小さいほうき。室内から持ち出さなくて済むように、ここに一本置いた
- サンダル。出るたびに靴を履き替えるのが面倒でやめない道具になった
出したものは、プランター四つ、バケツ、予備の竿、椅子、土の袋、ホース、植木鉢の受け皿が数枚。ほとんどが「いつか使う」で置かれていたものだった。
判断に使った問い
迷ったときは、この三つで決めた。
- 去年一度も動かしていないか:動かしていないなら、掃除のときだけ動かしている物ということになる
- 雨に濡れて平気なものか:濡れて劣化するものは、そもそも外に置く場所ではない
- 室内から持ち出せば済むか:済むなら外に常設する理由がない
二つ目が効いた。外に置いてあるものの半分近くは、雨で傷んで使えなくなっていた。使えなくなったものを掃除のたびに動かしていたわけで、ここが一番もったいなかった。
使っていないものをまとめて処分する日を作るやり方は、室内でも同じことをした。手順は使っていない家電と道具を手放す日を決めた棚卸しに書いてある。
掃除がどう変わったか
以前は、物を全部動かす、掃く、砂を集める、物を戻す、という順番で三十分ほどかかっていた。しかも戻す位置を毎回考えるので、そこでも時間が溶ける。
いまは竿を持ち上げるだけで床が空くので、掃いて集めて終わり。五分かからない。頻度も月に一度から二週に一度に増えた。減らすと回数が増えるという逆転は、トイレ掃除の手数を減らすために置くのをやめた道具でも、床の水拭きを毎日やらないために決めた割り当てでも同じことが起きた。
減らして困ったこと
いいことばかりではなかった。
- バケツがなくなった:ベランダで何かを洗う場面で、室内から持ち出すことになった。年に二回ほどだが、そのときは面倒
- 座る場所がない:椅子を出したので、植物の手入れをするときに膝をつくことになる
- 風の影響を受けやすくなった:物が少ないぶん、軽いものを置くと飛ぶ。結局サンダルは重いものに買い替えた
三つ目は予想していなかった。以前は物同士が風を遮っていたらしい。いまは洗濯ばさみのような軽いものは外に放置しないようにしている。
買い足すときに決めたこと
減らしたあと、また増えていくのが怖かったので一つルールを置いた。ベランダに常設するものを増やすときは、いま置いてある何かを出す。三つという枠を動かさない。
これは日用品の在庫で先にやっていた考え方の応用で、持てる量を先に決めてしまうやり方だ。量の決め方は日用品の買い置きをどこまで持つか決めた量のほうにまとめた。場所に上限を置くと、判断が楽になる。
よくある疑問
植物を育てているとこの形は無理か
うちは枯らしてしまったので結果的に減った。育てている場合は鉢の数だけ置くものが増えるので、三つという枠には収まらない。ただ、使っていない空の鉢と受け皿を出すだけでもかなり違うはずだ。
出したものはどこへやったか
劣化していたものは自治体のルールに沿って処分し、使えるものは室内の収納へ移した。移した先で場所を取るなら本末転倒なので、移すか捨てるかはその場で決めた。一度どこかに仮置きすると、そのまま一年たつ。
排水口の掃除も楽になったか
これがいちばん効いた。以前はプランターの下に排水口があって、存在を忘れていた。物を減らして見えるようになってから、詰まる前に落ち葉を取れるようになった。見えないところは掃除の対象にならない。
減らす順番
やってみて思ったのは、掃除の方法を工夫する前に、動かす物を減らすほうが早いということだった。道具や洗剤を買う前に、まず床の上を空ける。ベランダはその効果がいちばん見えやすい場所だった。

