押し入れの下段は、ほとんど来客用の布団で埋まっていた。敷布団と掛布団が二組、枕が二つ、毛布が二枚。年に一度か二度しか出さないものが、収納のいちばん取り出しやすい場所を占めていた。
去年の冬、これを手放した。代わりの備え方を決めるまでに少し考えたので、何を数えて判断したかと、実際に人が泊まったときにどうしたかを書いておく。結論から言えば困った場面はあったが、戻す気にはならなかった。
手放すまでに数えたこと
捨てるかどうかの判断に使ったのは、この四つだった。
- 去年一年で何回使ったか:一回だった。年末に一泊
- 使っていない期間に何をしているか:年に二回、干して戻している。それだけで半日かかる
- 場所の代わりに何が置けるか:季節家電と扇風機がここに入れば、別の部屋の隅が空く
- いま急に必要になったら何分で用意できるか:これが一番大事だった
四つ目を調べたのが決め手になった。近所で当日中に届く手段があるかを調べたら、あった。年一回の出番のために一年間場所を明け渡す理由が、これで消えた。
使っていないものを手放す日をまとめて作るやり方は、家電と道具でも同じことをした。そのときの順番は使っていない家電と道具を手放す日を決めた棚卸しに書いている。
代わりにしている三つの備え
寝具ではなく敷くものだけ持つ
全部を手放したわけではなく、厚手のマットだけ一枚残した。三つ折りにできるもので、クローゼットの縦の隙間に立てて入る。これが床からの冷たさを遮ってくれるので、上に掛けるものは家にある毛布で足りる。
逆に言えば、敷くほうを妥協すると一晩で分かる。床に毛布を重ねただけで寝てもらった回があって、翌朝いちばんに背中が痛いと言われた。厚みは削れないところだった。
掛けるものは自分たちの予備で回す
冬に使う毛布を二枚持っているので、来客のときはそれを出して、自分たちはその夜だけ薄いものにしている。専用のものを持たず、ふだん使いの延長で済ませる形だ。洗ってしまい込んだままの布団より、日常的に使っているものの方が清潔でもある。
枕は畳んだタオルで代える
これは意外にも不満が出なかった。バスタオルを二枚重ねて折れば、高さの調整が本人の手でできる。枕は合う高さの個人差が大きいので、固定されたものを出すより、自分で調整できるほうが結果が良いこともある。高さの測り方については以前まとめたことがある。
やってみて困った場面
一年半のあいだに三回泊まりがあって、うち二回で不都合が出た。
- 急に決まった一泊:夕方に決まって、届ける手段が間に合わなかった。マット一枚で足りる人数だったので何とかなったが、二人だったら詰んでいた
- 真冬の泊まり:毛布の回し合いでは寒かった。その回は暖房を朝までつけた。電気代の話としては安い解決ではない
- 問題なかった回:一週間前に決まっていた春の一泊。これはむしろ以前より楽だった
つまり、前もって分かっている泊まりには強く、急なものと真冬には弱い。この弱点を知ってからは、年末など人が来そうな時期の前だけ、毛布をもう一枚出しやすい場所に移しておくようにした。
それでも戻さない理由
困ったのは二回で、そのために一年間ずっと場所を使うのは釣り合わないと考えている。空いた下段には扇風機と加湿器が収まって、以前は廊下に出していたものが見えなくなった。使う頻度が高いものが取り出しやすい場所に来たので、日常のほうが楽になった。
それに、干す手間が消えたのが大きい。年に二回、半日かけて出して干して戻す作業がなくなった。これは来客の有無に関係なく毎年発生していたコストだった。
よくある疑問
何人まで対応できるか
いまの備えだと一人が限度だ。二人以上が泊まる前提の家なら、この形は無理だと思う。うちは実際に来るのがほぼ一人なので成り立っている。何人来るかを過去二年で数えてから決めるのがいい。
片付けの手間は減ったのか
出すものが減ったので、来客前の準備そのものは短くなった。時間のかかるのは布団ではなく別のところだったと分かったのも収穫で、短縮のためにやったことは来客前の片づけを短くするために決めた3つのことのほうにまとめた。
手放すときはどうしたか
自治体の粗大ごみで出した。布団は品目と料金が決まっていることが多いので、先に調べてから申し込んだ。二組で思っていたより安く済んだが、申し込みから回収日まで二週間かかったので、その期間の置き場所だけ確保が必要だった。
判断の軸はひとつだった
結局のところ、決め手は「急に必要になったとき、どれくらいで用意できるか」だった。ここに答えがある道具は手放しやすく、答えがないものは残したほうがいい。寝具は面積が大きいので効果が見えやすかったが、同じ問いは他のものにも使えると思っている。

